パティシエ 大貫理子
こんにちは。RICO KAGURAZAKAの大貫理子(おおぬき・りこ)です。この自己紹介を読んでいただけるご縁に感謝します。
フランス料理店を営む父のもとに生まれたため、幼少期からキッチンが遊び場のような環境でした。おのずと幼い頃からお菓子づくりをはじめ、病気がちだった母のために食材に気をつかうようになりました。
青年期は、日本の伝統文化と共に過ごしました。中学校の社会科見学で訪れた歌舞伎の公演をみて、伝統文化の美しさに心を奪われて日本舞踊の稽古に通い始めました。
踊るということのルーツは、神々を鎮めたり、感謝を捧げたりする行為にあります。踊りは神事として重要な役割を果たし、儀式や祭礼の中で長く行われてきました。神話や伝説、自然の麗しさや祈り、人の情念や忠義をどれも美しく描いた演目を一つ一つ習い、稽古しました。私の師匠の踊りは、とても美しい踊りでした。
踊りには、上手い踊りと、美しい踊りがあります。上手い踊りとは、振りや形や、間が合っていること。美しい踊りとは、上手いことに加え、神さまや人を想い踊るということです。
やがて、お菓子づくりを志し、プロとしての修行を重ねてきましたが、踊りで学んだ美しさは、菓子作りでも同様だと思っています。美味しくて、綺麗なだけではなく、人を想い、お菓子づくりをしていきたいと想っています。
本当にいいと思えるものをていねいにつくりあげること。相手のことを大切に想い、贈ること。そうすることで、こころがおどるような喜びを、相手と分かち合うこと。それが、まわりにも、広がっていくこと。
父のキッチンで感じたことも、踊りから学んだことも、すべてはここにつながっていたように思います。
はからずも、ご縁がかさなって選んだ開業の地、神楽坂はその名の通り、古くから神様に踊りが奉納された土地です。食にまつわる日本の古き良きお店と人が息づく場所でもあります。
そんな場所から、はじめます。一つひとつはとても小さく、か弱そうなお菓子たちですが、自然の素材が持つ力を素直に活かしたものには、今日という日と、人生を、ゆたかにできる力があります。
素直で、こころおどること。
RICO KAGURAZAKAをどうぞよろしくお願いします。