RICO KAGURAZAKA

カカオ100%

漆黒にかすかに紅のさした夜明け前の空のようなイメージ。砂糖を入れず、台湾カカオのみで作る、純粋でゆたかな 味わい。滑らかに精錬した粒と、粗く挽いた粒が混ざり合った、カカオそのもののさまざまな表情を見つけてください。

カカオ80%

雨が上がり、緑色がいっそう深みを増した森林のようなイメージ。直射日光を好まず日陰で育つカカオは、他の高木とともに育ちます。カカオのゆたかな植物としての香りの広がりをお楽しみください。

カカオ70%

鮮やかにみずみずしく色づいた赤い果実のイメージ。国産のきび砂糖の豊かな甘みと、粗挽きの粒によって台湾カカオの華やかな酸味を引き出し、カカオというフルーツの力を美しく伝えます。

カカオ60%

温かく力強い、焦茶色の木々のようなイメージ。滑らかに溶ける上品なミルクの風味に、粗挽きの台湾カカオの粒のゆたかな風味と香ばしさが立ち上ります。心を温かく包み込むような一枚です。

カカオ50%

晴れやかな日の、薄い萌葱色をした草原のようなイメージ。台湾カカオの果実味と、北海道産のミルクのふわりと軽やかな風味が溶け合い、細かく挽くことで、優しくて華やかな風味が生まれます。

ジャンドゥジャ

淡く桃色に色づく珊瑚のようなイメージ。19世紀のイタリア・トリノでカカオ不足を補うために生まれたヘーゼルナッツとカカオのレシピは、今も多くの人に愛されています。台湾のカカオ、日本のミルクと砂糖、イタリアのヘーゼルナッツという3つの産地が織りなす味わいをお楽しみください。

2017年、私が人生で初めて訪れたカカオの生産地、台湾の屏東(ピンドン)県。まだ右も左もわからなかった私を、カカオ農園に案内してくれたのが、福湾(フーワン)チョコレートのウォレンさんでした。

農薬や化学肥料を使わない、持続可能なカカオ栽培を基盤とした、福湾チョコレート。今や世界的に注目を集めるTree-To-Barチョコレートブランド福湾は、当時、国際品評会で賞を取り始めたばかりのころ。その創始者であるフーワンさんから、カカオのこと、発酵のこと、チョコレートのこと、さまざまな話を聞かせていただきました。その時、彼自身がカカオ豆から作るチョコレートをテイスティングさせてもらったのですが、フルーツやナッツ、花のような香りが複雑に押し寄せるゆたかな味に衝撃を受けました。

3ヶ月後に再び台湾を訪れ、カカオとチョコレートの5日間のテイスティングの講座を受けました。さまざまな産地のカカオ豆から作る板チョコレートやボンボンショコラを、ワインのようにテイスティングし、評価していくことは、その頃の私にとってはまだ難しいものでしたが、あらためて、チョコレートの奥深さを追求するきっかけになりました。

それからウォレンさんとは、お互いの国を訪れては親交を重ね、私も国際品評会に挑戦するようになってからは、海外に一緒に行くことも多くなりました。元々料理人のウォレンさんは、食に対する情熱があり、私も食に対するこだわりが強いので、一緒に食べ歩いたり、お店をオススメし合ったりしながら、美味しさやゆたかさということを学び合ってきたように思います。

父のレストランにも家族で来てくれて、皆でご飯を食べたり、私もお店のチームと台湾を毎年訪れて皆で研鑽を続けています。

ウォレンさんの仕入れるカカオ豆は、お水が美味しいことで有名な屏東の豊かな土壌で、除草剤、化学肥料や殺虫剤を一切使わず、かつ農家の利潤を保証した価格で仕入れる、人と環境に優しい、持続可能なものです。そこに、元は料理人であるウォレンさんが発酵をはじめとする品質管理をすることで、カカオ豆の風味がさらに深まり、雑味のない素直な、それでいて複雑な風味が生まれます。チョコレートそのものの風味は、カカオ豆の品質、発酵、焙煎の工程でほぼ全てが決まります。発酵は輸出の前に原産国で行われるため、加工国のショコラティエが行うのは、風味を決める3大要素のうち、焙煎のみとなります。よって、原産国とのコミュニケーションが取れている事が、カカオ豆を扱う私たちにとって大切な事だと考えます。

神楽坂の地でお店を開いて5年目で、私もやっとカカオ豆からチョコレートを作れるようになりました。世界で初めて、福湾さんのカカオを輸入することになり、CACAO IMPRESSIONとしてみなさんにお届けできるようになる事がとても嬉しいです。